大腸疾患による症状
以下のような症状がある場合には
大腸カメラ検査をおすすめします
腹痛
腹痛の原因
腹痛は様々な原因によって生じますが、特に多いのは消化器の病気です。消化管の穿孔のように緊急手術が必要なケースもあれば、食事などが原因となって一時的に痛みが強まっているケースもあります。便秘が長引いているときも腹痛の原因となります。この他、ストレスを感じたとき、お腹を冷やしたときにも起こります。あまり心配のいらない一過性の腹痛もありますが、命に関わる病気もありますので、強い痛みを覚えたときは躊躇せずに受診してください。
腹痛に関連する病気
腹痛に関連する病気としては、感染性腸炎、胃潰瘍、虫垂炎、腸閉塞、憩室炎などがあります。感染性腸炎は、ウイルスや細菌に感染することで起こります。虫垂炎は右下腹部に疼痛が生じることが多いです。憩室炎は大腸のいろいろな場所で炎症が生じることがあります。下腹部やおへその辺りの痛みがあり、発熱などの症状も見られるときは、これら病気を考えます。胃潰瘍は、胃の粘膜が傷ついている状態であり、みぞおちの辺りから脇腹にかけて痛みが出ます。虫垂炎は、みぞおちの辺りから痛みが始まり、右側の下腹部へと痛みが移っていきます。腸閉塞は、腸の中の内容物が詰まっている状態であり、腹痛と吐き気があることが多いです。すぐに治療が必要な場合が多いのでまずは受診しましょう。
検査・治療
腹部レントゲン検査、エコー検査や大腸カメラなどを行います。エックス線撮影は、腸閉塞や消化管の穿孔、尿路結石などを発見する上で効果的です。エコー検査は、腹痛の原因となりうる腸閉塞や腹水など多くの病気を見つけることが出来るので、腹痛のある患者様には広く行われています。この検査は放射線による被ばくの心配もありません。大腸カメラは、大腸がんや結腸憩室などが疑われるときに効果的です。
下痢
下痢について
健康な人の場合、便に含まれる水分量は60~70%ほどです。ところが、何らかの原因によって水分量が増えてしまう事があります。概ね80~90%の場合は軟便、そして90%を超える場合は水様便と呼ばれます。食あたりなどで下痢となったときは数日で症状が収まりますが、原因によっては3週間以上も続き、慢性下痢となることもあります。
下痢を伴う疾患
下痢を伴う疾患としては、ウイルス性胃腸炎、細菌性胃腸炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、吸収不良症候群などがあります。このうちウイルス性胃腸炎は、風邪のウイルスやノロウイルスなどに感染した食物を摂取することで起こります。細菌性胃腸炎は食中毒菌に感染した食物を摂取することで生じます。下痢だけでなく、激しい嘔吐や腹痛を伴うことも多いです。過敏性腸症候群は、ストレスなどが原因となって起こります。腹痛を伴って便秘や下痢、便秘と下痢を交互に繰り返す、などの症状がみられます。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜がただれたり潰瘍が発生する疾患です。
検査・治療
下痢が起こっている原因を調べるために便培養や血液検査、大腸内視鏡検査などを行います。原因疾患が分かればそれぞれに対する薬物療法を行います。脱水を引き起こすおそれもあるので、こまめに水分補給を行い、食事については、なるべく胃腸に負担をかけないよう消化に良い食物を摂取することが大切です。おかゆや消化の良い食事を心がけましょう。
便秘
便秘の症状
人によって便の回数は異なりますので、必ずしも毎日排便しなければならない訳ではありません。しかし、4日以上も排便が起こらない、1週間に2回以下しか便通がないなどにより腹部膨満症状が生じたり、便の性状が硬便になったりコロコロ便になっている場合は便秘と診断されます。便秘によって日常生活に支障を来たしている、便に血液が付着しているといった場合には検査や治療が必要です。医療機関を受診し、便秘症状を改善するために投薬を受けたり、検査を受けて何らかの病気が潜んでいないか調べたりしましょう。
便秘の原因
便秘の原因としては、運動不足、ストレスや腹筋力の低下、体の冷え、水分不足、過度のダイエット、女性ホルモンの乱れなどが挙げられますが、実際にはいくつかの原因が絡み合っています。
便秘に関連する疾患
便秘に関連する疾患としては、大腸がん、過敏性腸症候群、腸閉塞などがあります。大腸がんの場合、初期段階では自覚症状が少ないのですが、進行するにつれて排便しにくくなり、便秘となります。過敏性腸症候群の場合には、腹痛を伴って便秘や下痢、便秘と下痢を交互に繰り返す、などの症状がみられます。腸閉塞は、腸が詰まることによって便秘になり、腹痛や嘔吐などもよく見られます。
検査・治療
整腸剤や便秘薬を使ってもなかなか治らないような場合は、別の病気が潜んでいる可能性があります。隠れた疾患が無いかを調べるため、消化器内科をご受診ください。薬物療法だけでなく、腸に良い食生活のアドバイスを受け、自然な便通がもたらされるようにすることも大切です。検査は大腸カメラやエックス線撮影を行います。大腸カメラ検査を行うと、大腸の内部の状態を直接確認できるので、大腸がんやポリープなどを発見できます。エックス線撮影は、腸の中にどのくらい便が詰まっているのかが分かりますので、腸閉塞などを把握する上で効果的です。
血便
血便について
血便の種類には、鮮血便、暗赤色便、粘血便、黒色便などがあります。鮮血便は肛門や直腸からの出血が疑われます。大腸の奥の方で血が混じり込んだときは暗赤色便となります。粘血便はゼリー状の粘液と血液が混じった便であり、潰瘍性大腸炎や大腸の感染症を考えます。胃がんや胃潰瘍からの出血の場合は黒色便が見られることがあります。
血便を伴う疾患
血便を伴う疾患は、切れ痔やいぼ痔、潰瘍性大腸炎、大腸がん、大腸ポリープ、胃潰瘍など多岐にわたります。虚血性腸炎という突然の腹痛と下痢、その後の下血症状が生じる急性の腸炎の場合もあります。大腸憩室出血という憩室からの出血の場合もあります。
血便が起こった時の検査
肛門疾患によって起こっているのか、胃腸からの出血なのか診断する必要があります。出血量によっては緊急を要する場合もあります。血便の種類なども見極めたうえで、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査、腹部エコー、血液検査などを行い、原因を特定していきます。